色々話題になってたので、それに対する自分なりの回答です。
※当記事における解釈はあくまで法律の素人の解釈です。実際の運用はKONAMIおよび専門家の意見をお尋ねください。
まず査定パクリが悪かどうかなんてのはこの際どうでもいい(開幕タイトル詐欺)
基本的にゲーム内で制作された著作物というのはゲーム制作側に権利があるので、いくら他人が査定をパクろうがKONAMIがパクろうが、元はKONAMIの物になるのでそれをユーザー側が言ってもしょうがない・・・というのが自分の認識だったんですね。
(これ割とネット系ゲーム界隈だと常識かと思ってたんですけど、こっちの界隈だとこれベースに話をする人が皆無でびっくり)
ただまあ、それだと「理屈上はそうでもモラル的にはどうなの?」みたいな話もあるじゃないですか。
そういう落としどころを作るために利用規約っつーもんがあるわけですよ。
みなさん読んでますか?利用規約。僕はこの一件で初めて読みました。
メニュー画面から△ボタン(SwitchはX)を押すことで「コンテンツ利用規約」を確認することができます。
幸いにもオンラインサービス終了後も規約のページが読めます。逆に言うとオンラインサービス終了後も有効ということか・・・。
なお確認した限りでは2018の時点でほぼ同じ規約文章が使いまわされているので、この時点で既にKONAMI側の見解はそうだったということになります。
(通例どおりなら2024発売後に2018のページが消えてそうなのでアーカイブで表示しています)
たぶんスマホだと読みにくいんでタップして拡大してください
(前略)お客様は、「本コンテンツ」の利用を開始する前に、十分に本規約の内容を確認し、当該内容に同意の上、「本コンテンツ」の利用を開始するものとします。「本コンテンツ」の利用開始を持って、お客様は、本規約の内容にすべて同意したものとみなします。
ちゃんと読んだね?いいね?ってよくある確認文ですね。はたして何人が読んでるのか知らんけど。おぼろげな記憶が正しければゲーム初回起動時かLIVEパワプロ初回接続時に同意するかしないかが出たはずなので、少なくともLIVEパワプロやってる連中は同意してることになります。というか、同意ボタンを押した時点で中身読んでなくても同意したことになります。どうするんすか?たとえば規約違反者は全員○ねって書いてたら自害しないといけないんですよ?そんな規約見たことないけど。
(1) 「本コンテンツ」 当社が日本において提供するコンテンツ「eBASEBALLパワフルプロ野球2022」をいいます。
(3) 「お客様コンテンツ」 お客様が本コンテンツ内(書き込みまたはメール等を含みますがこれに限りません。)をいいます。
要は用語集ですね。とりあえず今回に関係してそうなのだけ。もしかしたら(4)「セーブデータ等」のほうに作成した選手データとかが入る可能性もありますが、少なくとも読んだ限りではそれっぽい条項が無かったので一旦置いておきます。
少し飛ばして7条です。
1. 本コンテンツ、および本コンテンツに含まれる一切の情報(ソフトウェア、デザイン等のすべての情報をいいます。)に関する著作権その他知的財産権は、当社、提携先または当該情報の提供元に帰属します。
「本コンテンツ」なのでKONAMI側が作った物の話・・・だと思う。ユーザーが作った選手データも「本コンテンツ」扱いなら話は違うけど、次項のほうがそれらしい説明なので・・・。
とりあえずKONAMIが作ったチームロゴとかそういうのはKONAMI、提携先とかいうのは例えば12球団のチームのロゴとかそういうの、当該情報の提供元というのは成績等のデータを提供しているJBD(一応書いとくけどJapan Baseball Data、DELTAと共同通信デジタルの共同出資会社のことな!なんでデータ提供元会社なのにこれも界隈で全然名前出ねえんだよ)のことでしょう。
うーん、長くて読みにくくてわかりづらい!w
一つずつ崩していきましょうか。
前項の定めにかかわらず、お客様コンテンツの著作権は、当社とお客様の間においては、お客様に帰属します。
あれ?帰ってくるんだ。ここもKONAMIの物だと言い張ってくると思っただけにびっくりしました。少なくとも2018の時点でこれだったので割とこの点に関しては結構先進的な考えしてるなと思います。なんだ、KONAMIっていい奴じゃん!
なお、お客様は、当社に対し、お客様コンテンツの著作権その他一切の権利(お客様コンテンツを第三者に許諾する権利を含みます。)を非独占的に許諾します。
分かりにくいし読みづらい!あとなんか変なこと書いてある!
とりあえず後ろから。
非独占的に許諾とは、これは非独占的利用許諾のことだと思われます。利用許諾には独占的利用許諾と非独占的利用許諾があって、独占的利用許諾は「許諾した人以外に許諾しちゃダメ!」って許諾で非独占的利用許諾は「他の人と同じ利用許諾結んでもいいよ~」って感じの許諾です。ネットでアニメ配信見てる人ならネ○フリやディ○ニーがよくやってるのが独占的利用許諾、いろんなサイトで見れるのが非独占的利用許諾と考えれば分かるかと。
もし独占的だと「選手アップロードしたけどお前ら公式以外は勝手にダウンロードすんなよな!!!!!」とか意味不明で機能の意味がないので非独占的利用で正解でしょう。
少し戻って「お客様コンテンツを第三者に許諾する権利」について。これは少し気になりますね。要するに「他のみんなも自由に使えるように代わりに許可出してあげるよ~」って言ってるんですけど、許可が出ているということはすなわち「他人の選手の能力を勝手に参考する」「他人の選手を勝手に動画に使用する」などもOKとも見えるような・・・。ユーザー側には嬉しいでしょうが、あれだけ騒いでた再現勢的にはどうなんでしょうね?まあ、騒いだところで同意ボタン押してる時点で無意味なんですが・・・。
あと、その前にある「お客様コンテンツの著作権その他の一切の権利」ですね。言葉がえらく大層ですが、例えば著作権の中に複製権というものがあります。読んで字のごとく複製する権利なんですが、これがないとKONAMIはアップロードされた選手を再配布できないし、利用者側もサーバー側から本体に保存ができない(これも複製なので)ので、これを与えるのは正常でしょう。
他に気になる点として翻案権というものがあります。勝手にアレンジをしてもよいか?みたいな権利なんですが、著作権の利用許諾でなく著作権の譲渡の場合、「著作権その他の一切の権利」という表記では翻案権が含まれないという話があります。ただこれは利用許諾なので、許諾の場合はこの書き方でもいいのか調べてみたけどちょっとよく分からない・・・。
ただ、複製権にせよ翻案権にせよ、これらの著作権は正確には著作財産権と呼ばれます。基本的に「著作権」と書いてる時は著作財産権を指すことの方が多いです。つまり、金のために査定してる!という人はいないはずなのであまり気にするほどでもないかな~という気はします。
あれ?でも「金貰って査定の依頼受けたいな~」とか言ってるヤツいなかったか?
ようやく最後です。
また、この場合において、お客様は、お客様コンテンツに関する著作者人格権等一切の権利を行使しないものとします。
字面からすれば「いちいち制作者ヅラしてくんなカスぶち○すぞF○CKY○U」ってことですかね?
でも著作者人格権ってなんだ・・・?
著作者人格権 著作者が精神的に傷つけられない権利の総称
・公表権…無断で著作物そのものを公表されない権利
・氏名表示権…著作物を公表する際に著作者名の表記を決定する権利で、実名以外に無名または変名使用も含む
・同一性保持権…無断で著作物を改変されて誤解を受けない権利
著作者人格権 - Wikipedia
ちょっと待て、なんか一個えげつないの入ってない?????????
同一性保持権の行使ができないってことは無断改変OKってことじゃねえの?????
いや!!!!!!でもこれ第三者に対してなら間違ってない!!!!!!!!
例えばLIVEパワプロで「この選手能力いいけど顔と名前だけ変えたいな~」ってことあるじゃないですか?それをできなくすると機能的には不便なのであえて使いやすくしてる、とかじゃないですかね・・・?
少なくとも他のユーザーならともかく、KONAMIがユーザーの選手を勝手に改変することなんてないから全然問題ない・・・?
あるわ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~めちゃくちゃあったわ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 何なら公表権もちょっと握られてないか
こうなってくるとちょっと話が違う、KONAMIと第三者ユーザーは同じ権利を許諾されてるわけだから、第三者ユーザーと同じように他の査定をパクったりしても全然問題ないことになる。それどころかそれに対して「公式or○○が俺の査定パクった!許せない!」とお気持ち公言することは著作者人格権の不行使に反してるからそれそのものの行為が規約違反ということになってしまう!おい!!なんで想定より悪化してんねん!!
そんなわけあるかい!ってなるけどだって規約に書いてんだもん!しかもみんな知らずに同意してるからな!!
そもそもそんな悪魔みたいなこと規約に書いていいの?いいんです。
「著作者人格権 行使しない」「著作者人格権 不行使特約」で調べるとそういう業界の話がバンバン出てきます。何なら今年2月に話題になった某事件もこれ絡みという話があります。
著作者人格権の不行使特約の是非まで書いてるとキリがないのではしょりますが、とにかく著作者人格権の不行使特約が規約にあって、それに意図せず同意してしまっている以上旗色が悪すぎます。気持ちは分かりますが一旦矛先を収めてください。
幸い見つけたのが2024発売前というタイミングで良かった、2024でも同じような規約だった場合同じようなことが繰り返される可能性は十二分にあるので気を付けてください。
ここまで語ってきましたが、はじめに述べた通りこれはあくまで「お客様コンテンツの中に作成選手データが含まれている」という仮定での話です。
もしかしたら「本コンテンツ」の方に含まれるかもしれないし(その場合は結局KONAMIのものだけど)、もしかしたら「セーブデータ等」にあって特に定義がないから著作権フリーであるという解釈もあるかもしれない。*1
そもそもこの規約文はKONAMIが使いまわしまくってるので、どこまで何を示しているのかいまいち不明瞭なところもあります。
例えばマスターデュエルにも同じ条文がありますが、マスターデュエルのお客様コンテンツってなんだ・・・?デッキ・・・?
何にせよ著作者人格権の不行使という悪魔の条文があって、あまつさえそれに同意してしまっているので、他人の査定に対して自分の著作者人格権を言い張るのはかなりまずい状況です。分かっているのは「他人の査定は勝手に使って問題ない」「ただしそれに対して自分の物だと言い張るのは規約違反」という査定勢の思想と真逆の規約が使われていてそれに同意してしまっていること、それだけは理解してほしいです。
せっかくなので某氏のパクリ疑惑にも触れておきましょうか。
まず「公式がブログを見ている」という説はちょっと眉唾です。いや、見ているだけなら可能性はあるかもしれませんが。
個人的には「LIVEパワプロでDL数が多い選手が需要あると思われて参考にされている」説を押したい。実際には自然にDL数が増えたわけではなく、ブログからのアクセスでDL数が増えていることも多いのでそれならば説明は付く。
例えばLIVEパワプロで人気選手を探してそれを利用する場合、開発環境からユーザーと同じように検索して、そこからダウンロード数が多い選手を探し、そっからそのままデータを拝借なり覗き見るなりすればOK。開発環境側からそのまま見れるはずですからね。
開発環境→サーチ・抽出→データを移送
これがブログを参考にデータを入力する場合、開発環境からブラウザに切り替えてブログに飛んでデータ見てそれを見て入力し・・・いや手間でしょ。直接覗くよりだいぶ手間。ただでさえ効率化求められてるのに一工程に三時間も四時間もかけてられないんすよ(16敗くらい)。
開発環境→ブラウザ→(アクセス)→ブログ→開発環境→入力
え?ブログにパワナンバーあるからそれ開発環境側から入力して取ってきたらいい?そこまで来たらファンだろ。雇え だからそういう話では?
ただまあ、仮にLIVEパワプロのDL数を見ているのであればいい案はあります。
某氏の査定は良くも悪くも色が濃すぎるので、そのまま使うとモロに色が出てしまいます。だから本来は薄めるべきなんですよね。
なので、同じくらいのクオリティで同じ選手を投稿しちゃうんです。参考になるデータが複数あれば、自然とその人独特の色も薄まっていって、外れ値も減っていくでしょう。何より何人かのブロガーが言ってる「被っててもいいから投稿してくれ」という需要とも合致します。
そうすればうまい事バランスが取れていくようになり、公式と界隈がうまくwin-winでバランス取れるようになるのではないでしょうか。これからも被りは気にせずガンガン投稿していきましょう。
まぁ、俺はしないけどね(台無し)
なお、もう一つの案として「2020の規約を確認しようとしたら表示されなくなっていた→オンラインサービスが終了すれば規約も見れなくなり失効するのでは?→パクられたくないなら2022終了から2024までの空白期間こそむしろチャンス!!!!!!!」という暴論を投げる予定でしたが、小癪なことにオンラインサービス終了後も規約のページが生き残ったので没になりました。
そんなことしっかりするくらいなら宣材写真の確認くらいしっかりしてくれないか???
参考になりそうな動画 開発側からの視点もあるので是非
*1:同一保持権の対象の例外にプログラムの著作物があるため、選手データを「ゲームプログラムを動かすためのデータとプログラムの集合体」とするならこれに当てはまるのではという解釈